ありがちなイメージ 4.コード進行

 お久しぶりです。mavieです。

 気が乗ったのでブログ更新です。

 今回はコード進行について書いていきたいと思います。

 まずはおさらいです。
 前回のブログで、こんなことを書きました。

"ジャズ及びポピュラーミュージックにおいて、曲中におけるコードというものは鳴らす音の目安となる枠組みを指定しているだけのもの"

"コード進行とは、切り詰めてしまえばルート単音の動きのみでその最低限の機能が発揮されてしまう"

 またコード自体についても、三和音よりもオクターブやパワーコードで考えたほうがやりやすいなどとも書いたとは思います。クラッシックやジャズ方向ならともかく、三和音などで考えるのはただの遠回りになってしまいやすいです。


―本当にわかっていないもの―

 コード進行がうまくつけられない人にとって、コード進行とは簡単そうに思えてなんともうまくいかないものであると思います。こういった場合得てして原因は理論がわかっていないせいだと思ってしまいがちですが、初回でも書いた通り理論だけ勉強をしたとしてそれは解決することはないでしょう。
 TSD・カデンツまわりについて勉強するよりも、よくあるコード進行を調べてそれを押しはめていくほうがよほど近道ですし、押しはめてみてそれでもうまくいかないのであれば、なおさら理論だけ勉強したところで意味がありません。
 そういった場合に本当にわかっていないものは、はっきり言って理論などではなく音のうまい並べ方なんです。

 この音のうまい並べ方は、理論を勉強すればできるようになるものではありません。

 必要なのは演習、絵になぞらえて言えば模写です。

 そうです。耳コピです。


 でも「音感ないし耳コピなんて無理( ;∀;)」という方、少なくともコード進行の感覚について、これを習得するためのトレーニングは耳コピが全てではありません。楽譜を打ち込んでみることや、人のmidiをそのままそっくり打ち直してみること、他にもいくつかあるかとは思います。

 その中で今回は初心者向けの、もっとシンプルに、かつしっかりと効果のあるやり方を解説していきます。



 まず、歌モノ曲の有名どころ、なんでもいいので好きな曲を選びます。JPOPでもアニソンでもボカロでもなんでもいいです。ただ最近の曲は無駄に凝ってたりするので少し前の曲がいいかもしれません。自分のためにもシンプルそうな曲を選びましょう。

 次に、スマホに無料のメトロノームアプリをインストールして、タップ機能を使ってその曲のテンポ・BPMをだいたいでいいので測ります。

 そうしたら、サビの前半など、歌のメロディを一部でいいので、キリのいいとこまで頑張ってdaw上にコピーします。シンセリードでもピアノでもなんでもいいです。単音ですし基本歌モノは音程聞き取りやすいのでここだけは頑張ってください。自分でも歌ってみると音程取りやすいです。



 音程が取れたら、次はコードです。


 さて、これも耳コピするのかというと、しません。


 やることは簡単です。

 さあgoogleを開いて"【曲名】 コード"と検索してみましょう。ギターだったりの歌詞とコードが書いてあるサイトが多分出てきたはずです。出てこなかった人は曲を変えてもらうしかないです。すみません。


 ここにきておわかりかと思いますが、さきほどJPOPやアニソン、ボカロの有名曲と言ったのはつまりそういうことです。コードの耳コピができなかろうが、少なくとも有名曲なら調べれば親切にも他の人がした耳コピが出てくるのです。これを利用しない手はないでしょう。

 耳コピができない、コードがわからないならばなおさら、選択肢は一つです。


 さて、ページが見つかったら次にすることは、打ち込んだメロのパートの部分に並んでいる各コードのルート音"だけ"を入力していきます。分数表記のコードは、分母の音がルートになりますので注意してください。

 やることは本当にこれだけです。

 リズムも、最初はそのコードの部分の間伸ばしっぱなしで大丈夫です。またコードの切り替わりのタイミングも小節にきれいに収まらなかったりする場合もよくありますが、聴くのが難しければざっくりで大丈夫です。違和感があったら原曲と聴き比べて変えてみましょう。


 大事なのは、メロディとルートの動きの関係性を掴むことです。耳コピというと難しく思ってしまいがちですが、本当にこれだけでいいんです。これを色々なパターンやっていくことで、ポピュラーミュージックにおける作曲の芯にあたる部分のエッセンスを掴むことができます。各コード進行それぞれが、それに対応するメロディの大まかな流れを持っていることが、わかってきます。



―コード進行がうまくつけられない・つけ方がわからない―


 多分、よほどの楽器経験を持ってDTMを始めた人を除いて皆がぶつかる壁だと思います。やはり、得てして皆その原因を理論の不理解に帰結させてしまいがちですが、それは全くの誤りです。


 改めてになりますが、コード進行がうまくつけられない人が本当にわかっていないのは、コードの動かし方ではなく、メロディの動かし方です。


 メロディとコードがピタッとハマっているような印象を感じる曲、響きなどに違和感なくメロディアスに感じる曲は、勿論理論に従っている場合もありますが、降りてきたいい感じのメロディに対して、作り手が理論知識等でもってうまいコードの当てはめ方を熟知しているがための産物だというのは、実のところ半分くらいは間違いです。

 それらの曲のメロディは、感覚任せであったとしても、ある程度なじみの進行に対応するようアウトプットされていて、最初からコード進行が(その人にとって)つけやすいものになっているんです。


 理論がわからないからコード進行がつけられないのではなく、本当のところはコード進行をつけられる、つけやすい・つけ方がわかっているメロディじゃないからコードがうまくつけられないんです。いくらコードの動かし方だけ知識を増やしても、メロディとの噛み合わせ方、互いに対応するメロディの流れがわからなければ、コードはうまくつけられないままです。耳コピとは、その相関性を掴むための超実践的なトレーニングなんです。



 さて、もっと具体的なコード進行にありがちな話です。


 上であれこれ書いてた、「コード進行がうまくつけられないのは、理論がわからないからではない」もそうですし、前回書いた「コードを三和音もしくは構成音すべて使って鳴らそうとする」、これら陥りがちな固定観念はこれを機に捨ててしまいましょう。ではどうしたらいいのか、についても一通り書いてきたはずです。是非試してみてください。



 他にもあります。


「規則的なコード進行」


 これも結構打ち込みメインの場合などにありがちです。

 一小節ずつ4563などと変化していく。小節の中で切り替えるとしても、きれいに2拍ずつ、あるいは1拍ずつなど、規則的なインターバルで進行する。

 もちろん基本としては何も間違っていることはありません。ですが、三和音の使い方同様それは数ある正解の中の一握りでしかありません。実際打ち込みによるピアノ曲などにありがちなのですが、最初から最後までそれだけで完結していては揺らぎの少ない単調な曲になってしまいます。


 この話はジャンルによって大きく変わってきますし、規則的な変化が要求されるものはあります。しかしメロディアスな曲、ポップスなどでは、流れに合わせて揺らぎを与える意味で、規則的なインターバルのコード変化をしない場面、小節にきっちりはめ込まない場面、あるいは小節内でリズミカルにコードを進行させる場面が多々あります。

 やたらめったらするものでもないですが、ここぞという時にそういった選択肢まで視野に入っているのとそうでないのとでは、出てくるものが全然違ってきます。

 ドラムやベース、メロディ、リフなどと同様に、コード進行のリズムも同じくらい凝ってもいいものなんです。取れる選択肢は増やしていきましょう。



「コード進行とアレンジの乖離」

 直前の内容と被る部分もありますが、端的に言ってコード進行はアレンジの一種です。なのですが、アレンジからコード進行が置いてきぼりになってしまっている場面をなんだかんだ見かけることは多いです。またそれと合わせて、展開と展開の接続部分をどうするか、というのがコード進行をうまく展開させる肝でもあります。コード進行がうまくできないという人が特に意識を向けるべき部分です。

 例えば、王道な盛り上げるアレンジとして考えた場合に、極端な話4563を4回繰り返しサビに入るのと4回目だけ2345に変えるのとでは、やはり後者のほうが盛り上がり感が出ます。

 2345はさすがに極端すぎますが、4回目を4455にするなど、こうした融通の利かせ方を覚えていくと、コード進行を曲に合わせより滑らかに展開させられるようになります。


 君の知らない物語を例として、ルートの数字のみを並べてみます。
 (※シャープとかはめんどくさいので0.5で表します)


  3                          4
  いつもどおりのあるひのこと
      5                          6
  きみはとつぜんたちあがりいった
 3     4   5                   4
  こんやほしをみにいこう

  4   5   6   3
  4  ②5  5.5   6     2    5     4
  1

  1                          5
  たまにはいいこというんだね
   4      1   7  
  なんてみんなしていってわらった
  6   2 4    5  
  あかりもないみちを
  1          5   5.5
  ばかみたいにはしゃいであるいた
   6     5   4.5
  かかえこんだこどくやふあんに
  4   3  4  5    1 
  おしつぶされないように

  1        7  

   6     4    5    3
  まあっくらなせかいからみあげた
 4   5  6    7      1
  よ ぞらはほしがふるようで

   1      5      4 
  いつからだろうきみのことを
  6  7 1   4   5    3
  おいかけるわたしがいた
    4    5
  どうかおねがい
    5.5   6 5  4
  おどろかないできいてよ
   3  2   3   4
  わたしの
  5   5.5  6.5 1
  このおも い を


  1


 さて、スケールからはみ出したコードなども一律ルートしか書いていないので一部変に感じる部分もあるかとおもいますが、一番がこのような感じになっています。では展開の接続部分について見ていきましょう。


 まずイントロは3456から始まり、①の部分ですが二回目を5で止めて展開の締め。

 続いての間奏は直前を5で止めたことを生かして4563にシフト。そして二回目を今度は大幅に変更しています。②は着地が1になる前提で、一回目と同じ動きを意識させつつ4561の進行感が出ることを(終止にならないので)回避し、ノンダイアトニックを交えながら1へと終止させる、ということをしています。多分よくわかんないと思うのでスルーでいいです。そこまですごいことはしてません。多分。

 ③⑥は次の展開の頭になる6へ持っていくため、一つ上の7からスケールを降りて6に着地するやつです。
 ④⑤は何も語る必要はないです。ベタに451をはさんできていますね。

 ⑦はサビへと向かう盛り上げになります。ある意味曲中で一番大事な部分ですね。ここは今までの1へ向かう展開と差別化させて、4から1(8)まで一つずつ上がっていくというパワープレイをかましています。駆け上がりでもなくここまで堂々と45671と上がっていくのは案外そうないパターンかもしれません。

 そして最後に⑧ですが、ここは同主調への部分転調になります。これもよくあるやつですね。ただし、普通サビ前などで使われるところを、サビの最後に少し感じを変えて強調させる目的で使われています。


 はい。だいたい以上になりますがいかがだったでしょうか。


 こうしてルートの動きで見ていけばよりわかりやすいと思うのですが、ルートの動きはスケールの隣の音への行き来で大部分が構成されているものです。あるいはそこにクリシェで半音を挟むといったような具合ですね。

 この曲は本当に、1、4、6、3のそれぞれで始まる進行がバランスよく配置されているように思います。またその中で、⑧のような王道からちょっとはずした部分も適度に織り込まれています。別にバランスよく色々使われているほうが曲としていいというわけではないですが、メジャー進行において色々と参考になる曲だと思います。1、4、6、3それぞれへの運び方とその融通の利かせ方を意識して、実際に曲を聴きながら改めて上のルート進行を是非見直してみてください。コードの切り替えのタイミングもそうですが、特に締めの部分、コード進行が曲に合わせてどうアレンジされているのか少しでも感じることができたなら幸いです。




 …とまあそんな感じです。

 長くなったのでこの辺で切り上げさせていただきます。長文失礼しました。

理論もへちまもないぶろぐ

DTM(ほぼピアノ)に関するあれやこれやについて、緩やかに発信していくぶろぐ。 たまに音楽制作活動についての報告もあるかもしれない。

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